2009-08-30

論文を読むこと

理系の大学院生・大学生ならば、多くの人が日常的に論文を読んでいると思う。
僕ならば、自分の研究に関連する研究、先行する研究の論文は読むし、反応を仕込む際に似たような反応が載っている論文の条件を参考にする、という使い方をすることがある。他の分野の人は知らないが、化学(有機化学)を専攻している人はたいていこのように必要に迫られて論文を読むだろう。
また、そうでなくてもちょっと気になった論文をざっと流し読みするということもある。

以上のように何かの必要があって論文を読むときや流し読みをするときというのは、文章全体をじっくり細かく読むのではなく、大事なところだけ拾いつつ素早く読む必要がある。たいていの日本人は母国語を読むのと同じ速さで英語の論文を読むことはできないだろうから、そのような読み方をしなければ数をこなすことができない。読むべき論文は山のようにあるのだ。

このように要所要所をおさえて、素早く論文を読む技術というのは研究していくうえで絶対に必要であろう。

ところで、大学院生・大学生というのは職業的に研究を行う人(教授などアカデミックポストに就いている人、ポスドク、企業の研究員等)と違って、宿題として論文を読まなければならないことがある。すなわち「この論文を読んで要旨を述べなさい」とか「評価しなさい」といった課題が出るときだ。
このような課題が出たとき普通の人はどのような読み方をするのだろう。別に知り合いにきいて回ったわけではないからわからないのだが、もしかしたら課題をさっさとすませようと流し読みをする人もいるのかもしれない。

しかし、このようなときはぜひ腰を据えてじっくり読んだほうがよい、と僕は考える。僕だったらアンダーラインを引っ張り、わかりにくい反応があれば巻き矢印を書いて反応機構を考え、必要ならば参考文献も読む。

論文を読むとき、多くの場合は先ほど述べたような流し読みをするだろうから、このように精読をする機会というのは他にあまりないと思う(もちろん自主的にそのような読み方をするなら別だが)。ああでもない、こうでもないと頭を働かせ、知らないところは調べ、ときには仲間と議論し、自分の納得のいくレポートが書けるまで考えていれば、きっと論文を読む前に比べて大きく成長するだろう。流し読みをしていても、その論文の内容の大枠はわかるかもしれない。でも、このように徹底的に読めば新しい概念が身につく。多くの知識を体系的に得られる。ただ論文を読んでいるだけのはずなのに、教科書を読んだり、授業を受けたりしているような効果が得られるわけだ。

なんか偉そうな言い方になってしまったが、せっかくの機会だから課題で出た論文はじっくり読んでみたらいいんじゃないかという話。

2009-08-27

我が英語力の無さを嘆く

今日研究室のポスドクの方(中国人)に「自分は帰りたいのだが、居室に他の人がいない。部屋を閉めていったほうがよいか。」というようなことをきかれました(英語で)。
そこで「彼は食事に行っている。部屋の鍵は閉めなくてよい。」と、答えようとしましたが、情けないことに「食事に行く」の英語が出てこなかったのです。うーん、「買い物に行く」はgo shoppingだけどgo eatingなんて言わないよな・・・。仕方ないので当てずっぽうで「He goes to dinner.」と答えたのでした。まあ、言いたいことは伝わりました。

調べてみると、go to dinnerは食事に行く、という意味で正しかったようです。でも、やっぱり駄目なのです。時制がおかしい。その人は食事に行って今部屋にはいないのだから、「He has gone to dinner.」でしょう。

こんな中学生レベルの英語も満足に出てこないというのは、結構絶望的な気持ちになれます。

よく日本人は英文法はできても、英語をしゃべることはできない、等と言われます。なぜでしょうか。思いついたことを書いてみます。

まず、文法はわかるとは言ってもほとんどの人は実際に使えるほどには身についていないということ。上記の僕の時制の間違い然り。こんなものは試験だったらみんな間違えないのでしょうが、会話だとつい言ってしまいがちです。

単語は知っていても、「その単語を使って、こんな言い回しが可能なのか」ということが判断できない。やはり上記の例だと(結果的には正しかったが)、僕はgo to dinnerという言い回しが可能かどうか自信が持てませんでした。goにしろdinnerにしろ誰でも知っているような単語なのですが、これらをつなげると途端に怪しくなります。もちろん知っている人にとっては何でもないのですが、知らない人にとっては永遠にその言い回しは使えないということです。こういうものは一つ一つ使える例を自分で増やしていくしかないのでしょう。

ちょっと話はずれますが、日本人は発音が苦手というようなことをよく聞きます。思うにこれは単に訓練不足ではないでしょうか。辞書にはせっかく発音記号が載っているのに、わざわざカタカナ発音を書き込んだり。日本語にない発音を練習してみようとしない。単語は覚えても発音、アクセントは気にしない、といった感じです。

何だかんだ言って、こういうものは少しでも練習を積み重ねるしかないのでしょう。

なお、以上の考えは、「國弘流英語の話しかた」(Amazonにリンク)という本の影響を大いに受けております。

2009-08-22

コミケ76 (2)

めちゃくちゃ今さらですが、今週の日曜日 (8/16) はコミケの3日目でした。

聞くところによると今回は参加者数が過去最高だったそうですね。の割には、僕は混み過ぎて前に進めない、という事態には直面しなかったので、比較的快適だという印象を受けました。

買った物は、と。

    「週刊中年ムスカ」
    少年のうたコミケ初参加。「天空の城ラピュタ」のムスカの同人誌という需要があるんだか無いんだかわからない本。
    「かんてん!」
    「Kanon」の同人誌。制作元:_ITO
    「交流戦をしよう」
    「リトルバスターズ!」の同人誌。しかしいまだにゲームやってなかったりします。時間無いっす。制作元:そよ風まかせ
    「Q&A」
    「ONE~輝く季節へ」の同人誌。発売から10年以上が過ぎた今でもONEの本を出す人がいるというのは本当にうれしい。制作元:Annexe One(Circle.msのページにリンク)

据えZENの新刊「水瀬家WARS 特別編 ~奥様は魔性~」が11時半ぐらいに行ったら、もう売り切れてました。まさかそんなに早く売り切れるとは思わなかったのでちょっとショック。この本がこの日コミケに行く目的の30%ぐらい占めてたからなあ。

他にも評論ジャンルなどでいくつか買いましたが、メンドいのでこのへんで。

2009-08-15

コミケ76 (1)

昨日はコミケの1日目でした。

買ったものは

しまった、ul要素使うまでもありませんでした。この日は目当てのものはこれぐらいしか無かったのです。
これらを買ってから、企業ブースへ行ってとらのあな東方幻想画報を買おうと思いましたが、ブースにたどり着く前に当日分品切れとなりました。2、3日目はもっと厳しいんだろうなあ。

ほしい物も買ったので昼ごはん食べて14時ぐらいにはとっとと退散しました。

その後は、ちょっと物足りなかったので地元の古本屋で夜になるまで延々と立ち読みしていました。で「仕切るの? 春日部さん」(Amazonの1巻のページにリンク)という漫画(全3巻)を買いました。
この漫画は、分類するとすれば学園ギャグ漫画ということになるんですが、内容はほぼ全て下ネタです。登場人物はほとんど猥談しかしていません。下ネタはともかく、僕はこの手のアホみたいなギャグ漫画が大好きなのでつい買ってしまいました。人によって好みが分かれるかもしれません。

さて明日はいよいよコミケ3日目。楽しんでこようと思います(ちなみに今日2日目は行きませんでした)。

2009-08-11

ねたミシュランが404

ねたミシュランはどうしちゃったのだろう。アクセスしようとするとPage not foundになってしまう。
ねたミシュランを作る人のネタ帳でも特にアナウンスはないし。

FC2ブログの他のブログはつながるので、FC2ブログ自体の問題ではない模様。

家に帰ってからの息抜きにぴったりだったんだけどなあ。見るのに時間がかからないからね。ニュースサイトだとリンク先に飛ぶのに時間を消費する。

2009年8月11日追記
と思ったけど、他にも404になるブログがあるからやっぱりFC2の障害かも。

2009年8月11日追記
さらに追記。やっぱり、FC2ブログの障害だったらしい。最新障害情報・メンテナンス情報ブログ 【FC2】ログイン障害につきまして

2009-08-09

-meterで終わる単語のアクセント

標題の内容の記事を書こうと思ったのですが、Googleで検索したらすでにわかりやすくまとめられているブログがあったので、そこへリンクするにとどめておきます(手抜き)。

meter: やまちゆうの英語ブログ

-meterで終わる単語は、測定器か長さの単位であるものが多いのですが、前者の場合、多くの単語はmeterの直前の音節にアクセントがきます。

thermometer(温度計)
θәrmámәtәr
barometer(気圧計)
bәrámitәr
altimeter(高度計)
æltímәtәr

測定器具ではありませんが、diameter(半径、daiǽmәtәr)もmeterの直前にアクセントです。

一方、長さの単位の場合は接頭辞部分の最初の音節にアクセントがあることが多いようです。

centimeter(センチメートル)
séntәmiːtәr
millimeter(ミリメートル)
mílimәtәr

kilometer(キロメートル、kilámәtәr)は例外で、meterの直前にアクセントがつくようです(ただし、kíの部分にアクセントをつけることもあるらしい)。また、micrometer(マイクロメートル、マイクロメータ)は辞書を引くとmaikrámәtәrと発音すると書いてあったので、これも例外なのかなと思っていたのですが、リンク先の記事によると単位として使う際は普通にmáiにアクセントをつけるようです。測定器具のマイクロメータ(薄いものの厚さ等を測れる器具)を言う際にはmeterの直前にアクセントなのでしょう。

いやあ、それにしても面白いブログを見つけました。ブックマークしておこうっと。

2009-08-08

外国の教科書

海外(具体的にどこの国かは失念した)の教科書は、分厚くて内容も充実しており演習問題も豊富である、一方、日本の教科書は質量ともにペラペラである、という話をよく聞く。

しかし、ここで一つ疑問が湧いた。日本人ほど勤勉でない(というのは偏見だが)国の子供が、そんな教科書を読みこなせるのだろうか。

2009-08-05

美しいです、という言い回しについて

ちょっと前に日本語ブームだとかで色々本が出ていた時期があったが、その中の一つに「問題な日本語―どこがおかしい?何がおかしい?」Amazonにリンク)というのがあった。

買ったり、図書館で借りたりしたわけではなく、本屋でちょろっと立ち読みしただけだったのだが、なかなか面白かった記憶がある。僕は割りと昔から「正しい敬語の使い方」だとか「間違った日本語」だとかいうテーマについて色々理屈をこねくり回すのが好きだったので、こういう本は大好物だった。

この本の中で、標題の言い方について説明があったが、もはや立ち読みしたのがだいぶ前のことなのであまり内容を覚えていない。僕の中学校以来の文法知識で解説を試みると以下のようになる。なお僕は特に国文法に詳しいわけでも何でもないのであまり真には受け取らぬよう。

「美しい」というのは形容詞「美しい」の終止形(あるいは連体形)である。よって「美しい。」で終わるか「美しい~(体言(名詞等))」のように続くのがあるべき姿である。しかるに「美しいです」では終止形である「美しい」の後に助動詞(用言)である「です」が続くことになって、文法的にはつながらない。
正しく言うとすれば「美しゅうございます」(「美しゅう」は連用形「美しく」のウ音便)である、というように本の中では展開していたような気がする。

とはいうものの、現在では「美しいです」のように「(形容詞の終止形)+です」の形はごく普通に使われる言い回しである(不自然だという印象を持つ人もいるらしいが)。本の著者も厳密には誤りであっても世の中がそれを受け入れるようになっているならば、正しい日本語として定着させてよいのでは、という立場で説明していた。
僕もこういうことは頭の中で考えるのは好きだが、いちいち目くじら立てて声高に間違いだと叫ぶのはどうかと思うので、こういうスタンスは好感が持てる。

今度見つけたら買おうかと思う。

2009-08-04

Bloggerで透過PNG画像のサムネイルが透過じゃなくなる問題およびその解決

まず何から話し始めたらよいのやら…。

他のブログサービスのことは、利用したことが無いからわからないが(そもそもなんでBloggerを選んだのか自分でもよくわからないが)、Bloggerでは、自分のブログのあるサーバに、自由に画像をアップロードして表示する機能は(多分)無い。

どういうことかというと。

ブログ作成画面で「画像を追加」ボタンを押して画像を載せると、記事中にはサムネイルが表示される。そのリンクをクリックするとアップロードした元の画像が見られる。これ自体は、ブログでは一般的に見られることで、特に写真なんかを掲載したいときには便利だ。しかし、リンクなんか作らないで単純に画像を表示したいだけのときもある。普通のホームページだったら、適当な場所に画像をアップロードしてimgタグのsrc属性でその場所を指定してやればいいだけのことで、わざわざサムネイル画像をupしたり、リンクを張ったりしなくてすむ分だけ楽だ。
ところが、Bloggerの場合「Blogger内の好きな場所に画像をアップロードする」ことができない。用意された機能を使う場合は、先に述べたような「サムネイル方式」でしかやりようがないのだ。imgタグで画像の場所を指定して直接表示したいのなら、どこかBlogger外にスペースを借りてそこに画像をアップロードする必要がある。
僕はそもそもこれが不満だった。

まあ、でも仕方ないので、僕は「サムネイル方式」で画像を載せることにした。前回の記事の反応スキームの画像も(今は違うが)サムネイルだった。
しかし、ここで問題が起こった。僕は、この画像を透過PNGで用意したのにサムネイル画像の背景は白くなっていたのだ。理由は不明である。

そこで、画像を削除してもう一度アップロードしてみようとしたが、Bloggerの仕様では画像を削除したければその画像を含む記事をも消さなけりゃいけない(下記リンク参照)。
自分のブログにアップロードした写真を削除するにはどうすればよいですか。
このあたりの仕様もひどいと思うのだが、とにかく消してもう1回アップロードしてみてもうまくいかない。リンク先の元画像はちゃんと透過PNGになっているのだが、サムネイル画像はなぜか透過じゃなくなっている。

理由が分からないのでお手上げになってしまって、色々調べていたらGoogle BloggerブログHacks Tips Tweaksで、参考になりそうな記事を見つけた。

Google Blogger から透過のまま GIF, PNGをアップロード

ここの著者の方も当初Bloggerでの画像のアップロードの際に使いにくさを感じておられたようだ。PicasaWebから透過GIFやPNGをアップロードしてそのアドレスをBloggerに貼り付けるとJPGに変換されて透過しなくなってしまったのだそうだ。

ん? Bloggerからアップロードした画像ってPicasaに載るんだ。
ちょっと詳しい人にとっては常識なんだろうが、だいたい僕はPicasaがGoogleのサービスであるということ自体知らなかった。Bloggerで画像をアップロードする際も特にそんな記述は無かったような気がする。もうちょっとそこんところはっきりわかるように説明してくれてもいいんじゃないの?>Googleさん。

とにかく、Bloggerから普通にアップロードした画像がPicasaに載るんだったら、そのアドレスをimgタグのsrcにすれば、(サムネイル方式じゃなくて)直接記事中に画像を表示できるし、上記リンク先の通りにやれば透過PNGも問題なさそうだ。まあ、形式としてはどこぞのレンタルスペースを借りて、画像に(Bloggerから見て)外部リンクを張っているのと変わりないんだけれども、BloggerもPicasaもGoogle内のサービスということで完結している感じがするので若干気分がいい。

ということで、無事Picasaに透過PNGの画像をupしてBloggerで表示することができた。ちなみにGoogle BloggerブログHacks Tips Tweaksの著者はうまくいかなかったようだが、なぜか僕がやったときは、Picasaから透過PNGをアップロードしても勝手にJPGに変換されたりせず、特に問題なかった。ただし、ファイル名の後ろにさらに拡張子が追加されて~png.pngという風になっていた。このあたり、勝手にJPGになってしまうことと関係があるのかもしれない。

話の流れが一貫していなくて迷走気味だが、結論はBloggerでの画像の取り扱いはわかりにくい、ということである。

2009年8月9日追記
勢いで書いてしまって、結局何が言いたいのかはっきりしなくなっているので、Googleへの要望という形でまとめてみる。

  • Bloggerの標準機能で「サムネイル方式」でない単純なimgタグで画像を掲載することができるようにしてほしい。
  • Bloggerでアップロードした画像がPicasaに保存されることを明記すべきである。
  • 透過PNGや透過GIF画像を掲載する際は、そのサムネイル画像も透過するようにしてほしい。
  • ブログ内の画像を消すためには記事自体を消さなければならない、というどうしようもない仕様を何とかしてほしい。これはPicasa上で画像を削除すれば一応解決するわけだが…。
  • ついでにもう一つ。Bloggerの機能で画像を載せるとHTMLに画像とそのサムネイル画像のURLが挿入されるわけだが、もしその部分の記述を誤って消してしまうと、画像のURLがわからなくなる。もし画像がPicasaにアップロードされると知らなければ、画像が行方不明状態になってしまう。仕方ないので再度画像をアップロードすることになってしまいばかばかしい。ユーザーインターフェースの改善を望む。
2009-08-03

有機ビスマス触媒による水中でのMannich反応

Qiu, R.; Yin, S.; Zhang, X.; Xia, J.; Xu, X.; Luo, S. Chemm. Comm. 2009, 4759–4761.
Synthesis and structure of an air-stable cationic organobismuth complex and its use as a highly efficient catalyst for the direct diastereoselective Mannich reaction in water
DOI : 10.1039/b908234d

単離可能(空気中で2ヶ月間安定)な有機ビスマス錯体を合成し、水中での直接Mannich反応を行ったそうです。

ビスマス触媒ってあまり聞いたことないな、と思って紹介しました。調べてみたらBi(NO3)3やBi(OTf)3をLewis酸として使うのはあるみたいですが、有機ビスマスの例は少ないようです。

今回試した基質では、収率は90%以上、anti選択性も比較的高いようですが、基質一般性があるか、不斉反応にできるか、そして既存の反応に対するアドバンテージがあるかが気になるところです。