今、くさいと評判らしい論文です。JACSのASAP.
Wang, X.; Zhang, B.; Wang, D. Z. J. Am. Chem. Soc. ASAP
Reductive and Transition-Metal-Free: Oxidation of Secondary Alcohols by
Sodium Hydride
DOI : 10.1021/ja904224y
一見して不思議な反応です。アルコールにNaHを加える反応では、まずプロトン引き抜きを起こしてアニオンを発生させ、さらに試薬を加えて反応を起こすというのが一般的ですが、この反応では、なぜかその後何もせずにケトンへと酸化されています。この論文では他にもNaHを加えるだけで起こる酸化の例を多数報告しています。
詳細は論文をご覧いただきたいと思いますが、正直言ってにわかには信じがたい。僕はまだちゃんと論文を読んではいませんが、溶存酸素や試薬中の不純物で酸化されているのではないかな、と空想しています。
きっと誰かが追実験や反論を雑誌に投稿するでしょうし、詳細な考察は僕なんかより、例えば有機化学美術館・分館等のような高い見識をお持ちの方々がなさった方がよいと思いますので、あまり、ボロが出そうなコメントは差し控えます。
ちなみに、TotallySynthetic.comでは、追実験の報告と考察がされています。
ポシティブに言えば、真の酸化活性種の同定と、機構の解明が行われれば新反応の開発につながる可能性はあるかもしれません。
さて、どうなるのか。
2009-7-26追記
有機化学美術館・分館でも取り上げられました。また、chem-stationの化学者のつぶやきですでに詳しい紹介記事が書かれていました。
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